MAX2010

Adobe MAX 2010レポート 1日目 基調講演

ロサンゼルスで開催されているAdobe MAXに参加しています。基調講演は、アドビのマルチスクリーン革命ともいえる、さまざまな進化を、これでもかという事例とともに見せてくれるものでした。
この記事は、基調講演を現地で聞いて印象に残ったものをまとめたレポートです。期間中は@spacelogueでリアルタイムにtweetしていますのでもしよかったらご覧ください。

ずっと昔、僕らWeb制作会社は、ブラウザごとにHTMLを作って、それを更新していました。開発も修正もおそろしく手間がかかる非効率な作業でした。
今、モバイル、タブレットなどのデバイスが次々と登場する中で、デバイスごとにコンテンツを作っていては時間がかかって仕方がありません。例えば1つのHTMLを制作したら、CSSなり、JavaScriptなりで、デバイスに応じた表示を実現することが必要です。Adobeは今回、特にこの部分に力を入れて、次の時代のソリューションを見せてくれました。

マルチスクリーン対応
HTML5 Pack for Dreamweaver CS5
すでに発表されていましたが、この拡張機能を使えば、モバイル、タブレット、デスクトップのそれぞれの表示を確認しながら制作できます。HTML5とCSS3のコードヒントも表示されます。Dreamweaver CS5をアップデートすれば使えます。→ HTML5 Pack for Dreamweaver CS5の詳しい記事
コードネーム「Edge」プロジェクト
現在Adobeで進行中のプロジェクトです。コードを描かずに、HTML5+CSSベースの演出をつけることができるツールです。Flashなどで見慣れた「タイムライン」があって、タイムラインに沿って要素を動かすことで、簡単にアニメーションを作ることができます。これならプログラムの知識がないデザイナーにも扱えるのではないかと思いました。
jQueryによって実現されていて、パラメータ情報はJSON形式でHTMLに納められています。メンテナンス性もよさそうです。
Site Catalystで訪問者を知る
SiteCatalyst NetAveragesを使うと、「HTML5 Features」タブを見ることで、どれくらいの人がHTML5(CSS3)のある機能(仕様)に対応したブラウザを使っているか知ることができます。
電子出版をもっと簡単に
電子出版は、自由な発想でレイアウトを組むことができます。縦に長いコンテンツだったり、横に長いパノラマ画像だったり、ビデオがあったりと、紙のレイアウトにとらわれない発想でコンテンツが生み出されています。さまざまなアスペクト比、画面解像度のタブレットが登場しています。世の中には、7インチという小さいタブレットもあって、これからも変則的なサイズのタブレットが次々と登場してくると思います。1つ作れば、あとはソフトがすべてのデバイスに対応させてくれることが求められます。
新しく発表された「Adobe Digital Publishing Suite」は、電子出版の作成、販売、解析を行うパッケージで、主に電子出版業界に向けたもののようです。InDesignがソリューションの中核を担います。Blackberry PlayBook、Samsung Galaxy、Apple iPad、Androidベースのタブレット機器をサポートするようです。
テレビにもAdobe AIR
ウェブ、モバイル、タブレットだけでなく、ついにテレビにもAdobe AIRが搭載されます。「AIR FOR TV」という名前で、すでにテレビ製造メーカーにSDKが渡っているようです。早速Samsungの機器に組み込まれるようで、壇上に作られたリビングのセットの中で実際に動いていました。
テレビのリモコンで操作できるAIRアプリが、ブルーレイレコーダーや、テレビ、セットトップボックスで動きます。もちろんFlashなので、Flash VideoをHD画質で再生でき、まさにAIRはテレビにぴったりの技術といえます。メニューはさまざまな映像の上にオーバーレイで表示されます。また、リモコンによる操作になるので、マウスともタッチインターフェイスとも違った、UI設計上の配慮が必要になってくると思います。
ゲーム
ゲームも1つのソースで、PCとモバイルで同じように動くのが理想です。そうはいってもこれまでは、モバイルのFlashの動作が遅すぎて、とても同じソースで動かすことはできませんでした。しかし、Flash Player 10.1のハードウェアアクセラレーション対応で、状況は変わってきています。MAXのデモでは、シューティングゲームで弾幕が描画できていました。また、モバイルでもPCと同じようにアクションゲームが動いていました。PCはキーボード、モバイルはタッチインターフェイスという入力の差も、同じソースで吸収しているそうです。今後、ゲームコントローラーからの入力もサポートされます(USB対応)。
次のFlash Playerの驚異的な3D描画
開発中のFlash Playerの3D描画のデモがありました。すべてGPUで行われるため、デモ中にタスクマネージャーを見ても、CPU負荷はほとんど0%でした。Alternative 3D 8、驚異的です。車が街中を走るデモでは、車への写り込みまで描写しながら、気持ちよい速さで動いていました。数百万ポリゴンを60fpsで描画できるそうです。「Flashの3Dは遅い」時代はもう終わりです。なお、GPUが使えない場合は、CPUによるレンダリングにフォールバックするそうです。

ブラウザ、電子出版、テレビ、ゲームなどの世界で、1つだけ作ればいろいろなデバイス、いろいろなサイズのスクリーン対応ができる制作環境が整いつつあります。マルチスクリーン革命が起ころうとしている、その瞬間に居合わせたという印象を強く持った基調講演でした。
参考:
Adobe MAX 2010 – 基調講演 1日目


Author

  • Shuichi Ishikawa
    Shuichi IshikawaShuichi
    Ishikawa
  • MikasaHideyuki
    Hideyuki MikasaHideyuki
    Mikasa
Shuichi Ishikawa
執行役員/インタラクションデザイングループ

フロントエンド開発からクラウドサーバー構築まで、新しいことに興味がありすぎて時間が足りない制作部門リーダー。Adobeインフルエンサー。九州芸術工科大学→ドリームキャスト→サーバーサイド→フロントエンド→執行役員→早稲田大学大学院→Kinect v2

好きな飛行機
B787-8
好きな空港
SXM
好きな航空路
Y28
Hideyuki Mikasa
オーサリングエンジニア

mikasa's text