アプリのデザインツールにアドビの本気を見た ― Adobe MAX 2015基調講演レポート

2015.10.06

Shuichi Ishikawa
クリエイティビティ・カンファレンス「Adobe MAX 2015」が、今年もロサンゼルスで開催されています。
カンファレンスに参加している弊社制作部門リーダーの石川が、現地より基調講演で発表された内容をお伝えします。


Webやアプリのデザインや開発には、まだまだ非効率で楽しくもない作業がたくさんあります。昨年のMAXではいろんなモバイルアプリが登場しましたが、何かの作業を劇的に変えるタイプのものではありませんでした。それどころか、アドビが提案する、デスクトップとモバイルを行き来しながら制作するワークフローを導入する人がどれくらいいるのだろうかと疑問に思いつつ、2015年のAdobe MAXに参加しました。

基調講演では非常に多くのツールや新機能が発表されましたが、その中からいくつかお伝えします。

アプリのデザイン・プロトタイピングツール「Project Comet」

これまでアドビが手をつけていなかった、モバイルアプリのUXデザインツールの登場です。「Project Comet」では、直感的な操作でモバイルアプリのデザインを行えます。


会場で行われたデモから、機能のいくつかをご紹介します。

  • 同じアイテムの繰り返しをドラッグするだけで作れる


  • アイテム間の余白もまとめて調整できる


  • アイテムごとに異なる画像を、ドラッグ&ドロップで適用


  • タブレット向けのデザインも同じ要領で素早く作成


  • すごい数のアートボードを同時に扱っても問題ないパフォーマンス


  • アートボード間の遷移も管理し、インタラクティブプロトタイプを作成


  • すぐプレビュー可能

来年のはじめにパブリックベータ版が登場とのことです。今から非常に楽しみなツールです。

レスポンシブWebデザインツール「Muse CC」

レスポンシブデザインカンプのツールとしてリリースされていたEdge Reflowの機能が、すごくよくなってMuse CCに搭載されました。


ReflowにあったCSSのレイアウト制約はなく、自由にデザインできます(フリーフォームレスポンシブWebデザイン)。ただの初心者向けデザインツールだったMuse CCは、もしかしたらデザイナーとエンジニアの間のコミュニケーションに役立つ重要なツールになったのかもしれません。
正直いうと、これまでEdge ReflowはCSSを理解した人しか使えないツールで実験の域を出ないツールでした。今回のMuse CCのレスポンシブデザインは誰でも使えるデザインツールに仕上がっていると思います。
レスポンシブデザインのカンプ、プロトタイプ作成ツールとして利用することはもちろん、メンテナンス不要のランディングページ程度なら、もうMuse CCが作ったHTMLをそのまま公開してもよいのかもしれません。

Photoshopのアートボード機能

ついにPhotoshop CCにアートボード登場!といいたいところですが、実は6月リリースのCC 2015.1ですでに搭載されていたことはあまり知られていません。そのときは使いものにならない荒削りの機能でした。
今回は作成や移動、コピーがちゃんとできるようになりました。


山のようにできるレイヤーも、アートボードごとにフィルタして表示できるようになり、実用レベルに近づいていると感じました。
まだ試していませんが、デモでは30枚くらいのアートボードを一度に表示させていましたので、パフォーマンス面でも改良があったのではないかと思っています。


また、選択したレイヤーからアセットを書き出す機能がつきました。書き出す際に解像度を変えることもできます。

Typekitにモリサワフォントが登場

リュウミン、見出しゴ、UD新ゴなどのモリサワフォントが、ついにTypekitに登場します。デスクトップフォント、Webフォントとして利用できるようになります。


Adobe CCの契約があればモリサワ、タイプバンクの20書体が利用できるようになります。アメリカのAdobe MAXでわざわざ英語圏の人に向けて発表していて、このパートナーシップは現地でも大きな扱いになっています。
Typekitで利用できるのは、各書体1ウェイトずつなので、利用シーンは非常に限られているものの、CC契約だけで使えるようになったのは大きな変化だと思います。

デスクトップツールでタッチ操作が可能に

Microsoft Surface Proなどのタブレット型PCで、ピンチ、スライドなどの操作を指で行ったり、ペンを使って作業できるソフトウェアが大幅に増えました。
Illustrator、InDesign、Photoshop、Lightroom、Premiere Pro、After Effects、Audition、Charactor Animatorがタッチ操作できます。
基調講演では、iPad Pro + Apple Pencilでデモされているものもありました。
Illustratorには新しくシェイパーツールが登場。ペンで描いた基本的な図形の組み合わせとジェスチャーのような操作で、複雑な形も簡単に作れるようになりました。

チームで、モバイルで同じ素材を共有する「Creative Sync」

クラウドにあるライブラリにアセットを置いて、デスクトップとモバイルアプリ、あるいはチームのメンバー間で同じ素材を共有できます。


素材を1ヶ所に置いて管理できるので、どれが最新のロゴか、どれが最新の写真かなど気にしなくてよくなります。ライブラリの素材を更新すれば、それを使用しているすべてのデザインファイルが更新されます。
写真やベクター画像だけでなく、ビデオや段落スタイルのようなものまでライブラリに置いてCreative Syncで共有できます。
またPhotoshop CCでは、ドキュメントのアセット、例えばすべてのスマートオブジェクトを、一気にライブラリに入れられるようになりました。

なんでもキャプチャして素材にする「Adobe Capture CC」

やや乱立気味だったキャプチャ系のアプリが、1つのアプリ「Capture CC」に統合されました。


Color、Shape、Brush、HueがCapture CCにまとめられ、パターン作成機能「Pattern」が追加されます。写真素材から繰り返しパターンを一瞬で作れます。(今日現在まだこの機能は搭載されていない模様)


さまざまな発表があった今回のAdobe MAX 2015。Creative Cloudはユーザーの声を聞きながら、着実に進化しているようです。


以上、現地ロサンゼルスよりお伝えしました。(写真が荒くてすみません)

Neuromagic Labsの新着記事