今年もアドビマジック登場!11個の開発中の新機能 ― Adobe MAX 2015 Sneak Peaksレポート

2015.10.07

Shuichi Ishikawa
クリエイティビティ・カンファレンス「Adobe MAX 2015」より、Sneak Peaksの模様をお伝えします。

Sneak Peaksとは、開発中の機能をちらっと見せるイベントで、これらが必ずしも製品に組み込まれるものではありません。しかしここ数年のSneaksの機能は、かなりの数が実際に製品に搭載されています。アドビの新しいツールやサービス、新機能の方向性を知ることができる重要な機会です。

1. 3D Portraits

1枚の2Dの顔画像から3Dモデルを自動的に作る機能。目や鼻は自動検出され、あごの輪郭、髪、首を指定すると、OBJデータを書き出せます。最後は3Dプリントしたものを司会の方にプレゼントしていました。


2D画像を取り込んで、あごの輪郭や、首の場所などを指定すると・・・


あっという間に3Dモデルの出来上がり。

2. Louper

検索ワードから画像を探すのではなく、ある画像に似た画像を検索するアプリケーション。Google画像検索と違うのは、2枚の画像のAND検索(両方の画像の特徴を併せ持つ画像検索)ができる点。画像はBehanceからで検索されます。これでAdobe Stockも検索できると、他のストックフォトサービスにはない特徴の1つになりますね。


検索したい画像(左上)を指定すると、似た画像が表示される


2枚の画像を指定すると、両方の特徴を持つ画像が表示される

3. Defusing PhotoBombs

この写真のこの部分はいらないと、世界の人が作成したマスクを集めて機械学習させ、撮影した写真から「邪魔なもの」を自動的に除去する機能。
邪魔なものを人間が範囲指定して除去し、そこを自然に埋める機能はすでにありますが、除去すべき対象を機械が勝手に判断するところがすごいのです。
除去する度合いはスライダーで指定でき、最後には何も邪魔するものがない写真が残ります。
アドビさん、この手の「邪魔なものを消す機能」大好きですよね。どんどんやってほしいです。


みんなが作った「邪魔なもの」のデータがこちら


機械にとってまったく初めての画像でも・・・


スライダーを動かすだけで、邪魔なもの(左の中央付近)が消える

4. DeepFont

デザインに使われているフォントの名前が分からなくても、1枚の画像さえあればフォントが見つかるアプリケーションです。DeepというのはたぶんDeep Learning(深層学習)のDeepです。
画像の中でフォント名を調べたい領域を選択するだけ。
PCのアプリケーションだけではなく、モバイルアプリ版もデモされていました。街で撮った写真からいきなりフォント名がわかるようになります。すでに7,500のフォントを認識するそうです。製品化も近いのではないかという印象です。


CDのアルバムジャケットのタイトル部分を範囲選択すると


フォントの候補が表示される


街なかの看板をタブレットで写真に撮って・・・


気になる文字の部分を範囲選択すると・・・


フォントの候補が表示される

5. Maestro Motion

タッチ操作でアニメーションのアイデアを形にするアプリケーションです。指でモーションパスを作ったり、イージングの調整などを指先で行ってアニメーションを作成します。Creative Syncで同期し、After Effectsに持っていけます。


ゆびでなぞるだけで


モーションパスが完成


そのままAfter Effectsへ

6. Design With Real Data

基調講演で発表された「Projects Comet」に、リアルなダミーデータを流しこむ機能です。用意されたダミーの名前のデータからランダムに流しこむ、ローカルのテキストファイルから流し込む、クラウドのスプレッドシートのデータから流しこむ、Webページのなんらかの繰り返し要素から自動的にテキストや画像を流しこむということでできます。デザイン・プロトタイピングツールにこの機能がついたらそれは素晴らしいですよね。


繰り返し要素に1つ1つダミーデータを入れていくのは大変


ボタンをクリックして用意されているダミーデータを入れたり、


ローカルのテキストファイルをドラッグしてデータを流しこんだり、


任意のWebページの繰り返し要素をそのままダミーデータとして流しこむ


もちろんAdobe StockのページからでもOK

7. Project Dollhouse

タブレットで撮影した画像から、パースを自動的に検出します。消失点も計算されるので、線の追加も可能です。3D空間に2Dの画像を置いたりして、最終的にIllustratorに持っていけます。


写真を撮るだけで、自動的にパースを検出(画像中の赤い線)


線の追加も消失点のガイドがついて簡単に


ベクター画像も3D空間に貼り付けられて


最終的にIllustratorへ持っていける

8. Project Faces

アルファベットのスケルトン(骨格)の、太さや角度、歪み、横棒の位置などのパラメータをいじって、全文字のタイプフェイスを一度に変化させ、カスタマイズしたフォントをデザインするアプリケーションです。


さまざまなパラメータをスライダーで変更できる


太くしたり  


横棒だけを上に動かしたりできる


このフォントを元にしたロゴが


こういうオリジナリティあるロゴに変化する

9. Project Boxcar

映像の中の大きな変化(切り替わり)に合わせて、音楽を自動的に再編集する機能です。例えば電車が外からトンネルに入ったとき、外に出るときなどの変化に合わせて、音楽を自動で変化させることができます。
Auditionには、映像の長さに合わせて音楽を自然に短くするRemixという新機能が発表されたばかりですが、この機能はシーンの変化にまでダイナミックに追従する、その先を行く技術です。

10. Extract Shading

画像の中の陰影情報を、表面のテクスチャーと分離する機能。例えば普通に撮影されたTシャツの画像の、文字の部分だけ別レイヤーに分け、その文字を消せるようになります。最後には自然な陰影がついた無地のTシャツが残ります。
もともと陰影の付き具合が違う画像からテクスチャだけ持ってきて、陰影を合わせながら貼り付けることも可能。
これぞアドビマジック!


Tシャツの文字だけ消したいとする


普通に消そうとしてもうまくいかない


そこで陰影だけ分離する(なんだこの機能すごい!)


陰影がなくなった文字だけのレイヤーができる  

  


文字だけ消せるようになる


陰影は残ったまま、文字だけが自然に消える

11. Monument Mode

動画を撮影し、動いていない部分だけを取り出して、静止画を作るアプリケーション。スマートフォンで短時間に処理していたのに驚きました。これで、どんなに人が多い観光地のようなところでも、人のいない画像を作ることができます。


有名な観光地では誰かしら写ってしまいますよね


機械が動くものと動かないものを区別していきます


もう誰かそこにいても(画面左下)、誰もいない写真ができあがります


絶対誰かいるはずなのに、誰もいない写真の完成


いかがでしたか?機械学習がベースになっている機能やアプリがかなり多かったという印象ですが、見ていてわくわくしました。これまで人間がやってきた面倒な作業は、どんどん機械が自動でやってくれるようになるのですね。

以上、現地ロサンゼルスよりお伝えしました。

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